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瓦一枚の値段は、100円前後だし、 下地の野地板やフェルトなども安いものなのです。 建築業界は、一般に元請けが半分利益を抜き、 残りを、実際に工事をする工務店や職人さんがやりくりしてやっと利益を出したりするので、 少しでも安い建材を使い、低レベルな仕事が多くなってしまうのです。 屋根の葺き替えなどでの元請けの存在価値は、 直接現場の工事をする業者に対する使用瓦や建材の指定と、 工事方法の指定や全体管理です。 今流行の大手のリフォーム会社でも、 はっきりいって 職人さんや大工さんを直接社員としてかかえている会社はほとんどありません。 リフォーム会社は、利益を出さないとつぶれてしまいます。 現在、リフォーム業者が乱立し、 もともとある工務店や個人の職人さんのいる業界では 個々の特色を出した差別化をしていかなければ生き残ることができません。 しかし、 大半の業者は価格競争に走り、 利益を出すのが厳しい状態になっています。 その中でしわ寄せは 直接現場の工事をする屋根業者や職人さんが被ることになります。 ですから、リフォーム業者や工務店の存在価値を示せる仕事をしないと お客様は納得できません。 また、小さな工務店や職人さんたちは、宣伝や営業が苦手です。 そこで、仕事をくれるリフォーム会社や大きな工務店の工事を わずかな利益で数をこなしてやっていくしかありません。 リフォームや屋根の葺き替えの工事をする時は、 小さな工務店や屋根職人さんは自分自身が大工であり棟梁ですので、 その分の人件費は支払わなくて済みます こういう直接お客様から依頼を受ける仕事が来ると、 個人の公務店や職人さんは大助かりなのです。 こういうとき、屋根職人さんたちは安くするかというと、 リフォーム会社がお客様に請求する金額をそのまま提示します。 こういうところで利益をあげ、ボーナスとするのです。 リフォーム会社が抜いていく金額の残額から瓦職人さんたちが利益を出すために、 職人さんたちは使用する瓦や建材の質を仕方なく落としていかなければ やっていけません。 そして、気分の乗らないままやった仕事が出来上がります。 適正な価格を出すには、 ●管理をする人間を置いて ●多大な利益を抜いていく元請けを排除します。 そうすれば、職人さんもきちんとした良い瓦と、最高の建材を使い、 リフォーム会社の提示する工事価格より はるかに安い金額でお客様に提示しても充分な利益が出て、 お客様も屋根業者も、どちらもが納得することができます。 しかし、 ここで重要なことは、職人さんや大工のレベルとモラルの問題です。 戦後、 洋風住宅ブームで、『2×4(ツーバイフォー)大工』 という妙な職業が誕生しました。 『2×4(ツーバイフォー)大工』とは、 コスト削減のために工場で建築材料を大量生産し、 ひとつひとつのパーツにして現場に建材を運び込み、 それを『模型のおもちゃ』みたいにマニュアルに沿って クギとボンドで組み立てるだけの簡単で、 技術を必要としない仕事をする、インスタント大工のことを指します。 お釈迦様が 「知っていて悪いことをする人より、知らないで悪いことをする人の方が罪が深い」 と言われたそうですが、 これは、今の建築業界にそのまま当てはまります。 欠陥住宅がいろいろ問題になっていますが、 「欠陥住宅の20%は故意によるもので、残りの80%は無知による工事だ」 ということだそうです。 これは、その人間が無知でやったので、 悪いことをした意識がないからまた悪いことをするということです。 「知らない」まま、反省もしないし、学習することもない多くの『インスタント大工』が いつのまにか当たり前のように増殖し、 かつてのもともと技術をもっていた大工さんまで技術を使う場が減ってしまい、 レベルを下げてきています。 話が少しずれましたが、 建築業界全体の技術レベルが下がってきているのは事実です。 例えば、 大工さんは屋根のことは屋根職人に任せきりです。 反対に 屋根職人さんは下地工事などは大工さんに任せきりです。 お互いの仕事が分担されているので、 全体を管理する責任の所在があいまいになります。 一日の仕事が終われば屋根に防水シートをかけ、 家周りの端材やゴミを片付けて帰るのは、昔はあたりまえでしたが、 今は、できていない現場をよく見かけます。 ですから、屋根の葺き替えやリフォームなど、 人の健康や安全に直接かかわってくる家の大切な部分の工事をする場合は、 現場をトータルで管理できる人間がいると安心と いうわけです。 ■業者の選び方の重要なポイント 医者でいえば、問診です。 最初に業者や瓦職人のポリシーをきいてみます。 どういう風な考えで屋根を葺いているか。 例えば、 考え方を聞いて、その中に 「お客様が長く、安心して住める家を造るのが大切だ」 というような概念が入っているか。 また、普段どの瓦を使い、どういう下地、建材で工事をしているか、 普段断熱工事はしているか、 などを、こちらが指定する前に聞いてみます。 また、他の瓦についてどの程度知識があるか、 そして、知らないことは知らないといえるか、 知らなくても積極的に話をきいて協力しようとするか、 などを聞いていくと、 だいたいその業者さんのレベルや仕事に対するモラルの程度が分かってきます。 そこで初めて、 こちらが指定をする内容を提示し、 この内容で工事をするといくらになるかということを 数社の業者に見積もりを出してもらいます。 見積もりが出来上がったら、 あなたは「忙しく時間が取れない」 (と、いうと夜訪問したいという業者さんがいるので) 「夜は来ては困る」 などと言って、 家のポストに入れるか、郵送してもらいます。 (これはなぜかというと、業者さんはこの見積もりを出す時が クロージング[契約を求める作業]の一番大事なところだからです。) そして、数社との見積もりを見比べれば、 大体の金額や、おかしなところ、人間性などがみえてきます。
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